FC2ブログ

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

キス魔な彼女と草食系僕二十七話

「ごめんねぇ」

京極が一人ぽつんと店の隅のテーブル席に座っている億川に話し掛ける。

「なんかぁ、千夏先輩が細雪にぃ、言いたい事があるみたいなんだけどねぇ」

京極は苦笑いしながら千夏のいる方を見る。

千夏は翔太と泪から色々と話を訊いていた。

「何か記事でも書くつもりなんですか‥‥?」

そう言いながら京極と億川の二人に料理を渡したのはウェイター姿の美形の女性、百武真琴だった。

「わぁ、ありがとうぅ!」

京極の目がキラキラと輝く。

「あ、あの‥‥私‥‥お金持ってないです」

「サービスですよ、代金はいりません‥‥元々余り物で作ったまかないですし」

真琴が笑顔で答える。

「あ、ありがとうございます、百武さん」

「モモ、で構いませんよ、億川さん」

「モモ先輩、お代わりしていい?」

あっという間に出された料理を平らげた京極がモモに訊く。

「ごめんなさい、もう材料がありませんので‥‥代わりと言ってはなんですが‥‥」

真琴がポケットからいくつか飴を取り出す。

「どれがいいですか?」

「オレンジ!!」

京極が答えて手を出すと真琴がその掌の上に一つ落とす。

「億川さんはどれがいいですか?」

「わ、私はいいです」

「飴、嫌いですか?」

「そういうわけじゃないですけど‥‥」

「遠慮しなくていいんですよ?」

「じ、じゃあ‥‥イチゴで」

億川がそう答えると真琴が一つ飴を渡す。

「では、ごゆっくり」

真琴はそう言って二人から離れた。

「あの人‥‥城羽の副会長の百武さんですよね? どうしてここであんな恰好してるんですか?」

「服装のことならぁ、多分好きな人にあっちの方が似合うって言われたからだと思うよぉ」

京極がいつもの笑顔で答える。

「好きな人‥‥いるんですか?」

「今はどうか分からないけど‥‥昔はいたよぉ。あのくらいの歳だったらそのくらい当たり前でしょぉ? 細雪だってそうでしょうぅ?」

京極がそう訊くと億川は赤面する。

「わ、私は‥‥っ」

「あとモモがここにいるのは‥‥気になるなら直接聞いた方がいいよぉ。ここにいる人達はたいていデリケートな理由だからぁ‥‥食べないならそれ、食べていいぃ?」

京極は物欲しそうな顔で億川に訊く。

「あ、いいですよ。どうぞ」

「ありがとぉ」

京極は億川から料理を受け取ると、またしてもあっという間に平らげた。

「食べすぎじゃない? 他人のまで食べちゃダメでしょ」

そう言ったのは翔太達から話を訊き終わった千夏だった。

「ごめんね、遅くなって‥‥怖い思いもさせちゃったみたいだし‥‥」

「いえ、大丈夫ですよ」

「そう? それならいいんだけど‥‥ウチ、結構敵が多くてね」

「それに今日はぁ、望海も旅行でいないからぁ、結構ピリピリしてるんだよぉ」

「敵‥‥ですか?」

「知らない? 『ナイトメア』は結構やんちゃしてる連中や血気盛んな連中を仲間にするから、たびたび色んな所でトラブル起こしてるのよ。だからああやって敵が来ないように見張りがいるのよ」

千夏は笑いながら軽く答える。

「それって‥‥結構危ないんじゃないですか‥‥?」

「大丈夫よ、そうそう『ナイトメア』を相手にしようなんて奴はいないし、いたってあいつらが倒してくれるし」

億川が心配そうに千夏に訊くと、千夏は笑顔を崩さず何でもないように答える。

「ところでぇ、何で細雪を呼んだのぉ?」

「そうね、そろそろ話しましょうか‥‥」

千夏はそう言うと京極に目配せする。

すると京極は黙って席を立って、翔太達がいる方に歩いて行った。

「えっと‥‥何でしょうか?」

「そんなにびくびくしないでも大丈夫よ、簡単な質問だから」

千夏はそう言うと億川の正面に座る。

「質問?」

「あなた、翔太のこと好きなんでしょう?」

千夏が真剣な表情で億川に訊くと億川の顔が一気に真っ赤になり、目がおよぎだす。

「え、な、何で‥‥京極君に聞いたんですか!?」

「へぇ、本当に好きなんだ‥‥結構モテるのね、翔太」

千夏がニヤリと笑う。

「え‥‥?」

「学校であなた達を見て‥‥なんとなくそんな気がしたから」

「カ、カマかけたんですか‥‥!?」

「自白が一番信用出来るからね‥‥そんな怖い顔しないでよ‥‥で、何で惚れたの?」

「‥‥黙秘です」

千夏の質問に億川が赤くなった顔を隠すように俯いたまま答える。

「ま、答えなくても勝手に決めるからいいけど‥‥自分の身を犠牲にしてまでも助けてくれた時に惚れたって所かしら?」

「な、何で分かる‥‥あっ!」

億川が顔あげて言いかけるが、途中で何かに気付いたように口に手をあてる。

千夏はくすっと笑う。

「あなた、本当に正直ね‥‥京極が言ってた通りだわ」

千夏がそう言うと億川は真っ赤な顔で小さく呻く。

「こ、九重君には言わないで下さいね‥‥」

「何でよ?」

「な、何でって‥‥私が九重君のこと好きって九重君が知っちゃったら‥‥今のままじゃいられなくなっちゃいます‥‥」

「今のままって‥‥友達のままでいいの?」

千夏がそう訊くと、億川は再び俯く。

「だって‥‥しょうがないじゃないですか‥‥九重君には‥‥泪さんが‥‥綺麗で可愛い恋人が、いるんですから‥‥」

「あなただって可愛さじゃ負けてないじゃない」

千夏はそう言うと身を乗り出し、億川の顔を上げさせると前髪をかき上げる。

「別に恋人がいるからって、遠慮することないじゃない」

千夏はそう言うともう一度椅子に座り直す。

「あなた、遠慮しすぎなのよ。さっきも、モモから飴貰うの断ったでしょ」

「見てたんですか‥‥?」

千夏は頷く。

「周りに遠慮して、本当に欲しい物を手に入れられないことほど悲しいことはないわよ‥‥本当に欲しい物を手に入れるには、ただ待ってるだけじゃだめなの」

「でも‥‥」

「だいたい愛は奪い合いなのよ? 勝つか負けるかなの。ぶっちゃけ、負ける方が悪いのよ」

「私じゃ‥‥泪さんには‥‥勝てませんよ‥‥」

億川がそう呟くと、千夏がやや怒気を含んだ口調になった。

「‥‥確かに‥‥今のあなたじゃ泪には勝てないわ」

「千賀さん‥‥?」

「だって、あなた自分のこと信じてないもの。確かに勝てるかどうかは分からないわ。翔太がどっちを選ぶかは翔太次第だもの。でもね、だからってあなたが負けるとは限らないでしょ? あなたは確かに泪に劣ってる面はあるわ。でもあなたが泪に勝ってる面もあるわ」

億川は黙ったまた俯き続ける。

「もし、まだ自分が泪に絶対勝てないって思ってるんだったら‥‥明日の朝、もう一度ここに来なさい。あなたを『改造』してあげる。それでも翔太が無反応だったら、確かに脈なし、あなたは戦っても負けるわ‥‥でもそうじゃなかったら‥‥勝つチャンスはある。そうじゃない」

億川はゆっくり頷く。

「私は明日ここで待ってる。どうするかは‥‥あなたが決めなさい」

千夏はそう言うと優しく微笑んだ。
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

織田一菜&K

Author:織田一菜&K
サイト「小説家になろう」様で小説を書いています。

ぜひ遊びに来てください


このサイトは主にオリジナル小説をだらだらと書いていくサイトです。

お暇なかた、ぜひお読みください

小説家になろう様(自分のユーザーページ)
http://mypage.syosetu.com/4391/

twitter
http://twitter.com/

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
FC2ブログランキング
FC2ブログランキングに参加させていただきました! みなさんよろしくお願いします!! ↓のバナーをポチっとお願いします!!

FC2Blog Ranking

FC2カウンター
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR
検索フォーム
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。