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キス魔な彼女と草食系僕二十八話

途中から第三者視点になります




ゴールデンウイークの最終日の午後、僕は京極の頼みで、久しぶりに泪とではなく一人きりで町に来ていた。

泪に言うと何か言われそうだったから黙っておいた(ちょうど今日は部活だったし、黙ってたらばれないだろう)。

それにしても――

「なんであんな頼みを‥‥?」

京極の頼みは「億川さんと一緒に二人きりで遊んで欲しい」というものだった。

きっと京極が何かを企んでいるんだろうとしばらく考えたけど、何かを企んでいるのかまでは分からなかったから、とりあえず京極の言う通りに動いてみることにした。

腕時計のアラームが鳴る。

ちょうど1時になったところだ。

「ちょっと早過ぎたかな‥‥」

京極が指定した時間は1時30分だった。

まぁ、遅れるよりかは早く来たほうがいいだろう。

そんな感じでしばらく待っていると、聞き覚えのある声がした。

「こ、九重君‥‥待たせてごめんなさい」

億川さんの声だった。

声をかけようと振り向いた僕は絶句した。

そこには確かに億川さんがいた。

だけど、目まで伸ばされていた前髪は切られショートカットになっていて、顔はほんの少しだけ化粧をし、服もいつもより女の子っぽいかわいい服で、制服よりもずっと短いスカートをはいている。

‥‥正直、凄く可愛い。

さすが「綺麗で可愛い女しか覚えられない」と豪語する男達がばっちり覚えてるだけのことはある。

「こ、九重君‥‥?」

億川さんの心配そうな声で我に返る。

「やっぱり‥‥私の格好‥‥変ですか?」

億川さんが恥ずかしそうに俯きながら僕に訊く。

「そんなことないですよ! いつもより‥‥いや、いつも可愛いんですけど、今日はそれよりももっと可愛いです」

思わず正直に答えてしまった。

「本当ですか‥‥?」

億川さんが不安そうに顔を上げる。

僕が頷くと億川さんは安堵と喜びが入り混じったような表情になる。

「でも、急にどうしたんですか?」

「えっと‥‥これは‥‥」

億川さんはかなり困っている。

そんなに言いにくいことなのだろうか?

「えっと‥‥えっと‥‥」

「いや、別に言いにくいことなら言わなくてもいいんですよ?」

僕がそう言うと億川さんは頷いた。

「ごめんなさい‥‥」

「いや、そんな謝るようなことじゃ‥‥とりあえず、行きましょうか」

「あ、はい‥‥今日はよろしくお願いします」

億川さんは僕にペコリと頭を下げた。


◆◇◆◇◆


「なんか結構いい感じじゃない」

遠くから億川と翔太を双眼鏡で覗いている千夏が呟く。

二人は序盤こそ固かったが、徐々に雰囲気が砕けていき、何も知らない人が見ればかなりラブラブなカップルに見える。

「翔太は泪と"デート"したことはないから、あれが"デート"だって気がついてないんだろうから、自然体で細雪に接してるからだろ」

千夏の隣にいた僅かに笑みを浮かべながら京極が答える。

「これで細雪はもっと積極的になってくれると思う‥‥付き合わせちゃって悪かったね」

「別に、他人のコーディネートするの好きだし‥‥それにあんたの頼みだしね」

千夏が双眼鏡をはなし京極を見た。

「何その理由」

「『ナイトメア』の参謀であるあんたにそっぽ向かれちゃったらたまらないからね」

「俺そんな心狭い奴だと思われてるの?」

京極が苦笑いすると千夏はクスッと笑う。

「冗談よ‥‥ねぇ、一つ聞いてもいい?」

「別にいいけど」

「あの子の恋が成就したら‥‥泪がフラれるってことでしょ?」

「そりゃあ、翔太は二股をかけるような性格じゃないからね」

「じゃあなんであの子の恋を応援してるの? 同じ学年委員の仲間だから? それとも‥‥あの子に惚れた?」

千夏が訊くと京極は頭をかく。

「別に‥‥どんな奴でも、どんな状況でも、同じフィールドに立つくらいの権利はあるべきだって思っただけだよ。まぁ、細雪はいい奴だから‥‥情が湧いたってのもあるのかもね」

京極がそう答えると、千夏は再び双眼鏡で二人の観察を始める。

「‥‥聞いてる?」

「あなたは情けを持っちゃダメよ」

千夏は京極を見ずに言う。

「あ、聞いてたんだ」

「あなたは策士‥‥情を持った策士は情に溺れるわよ。あんたにはまだまだ『ナイトメア』の連中守ってもらわなきゃなんだし」

京極は再び頭をかく。

「別に俺、策士にじゃねぇし‥‥それに‥‥助けたいやつ助けられないような奴に、何かを守ることなんて出来ないと思うけど?」

「あんた‥‥意外と甘いのね」

「まぁ、千夏やモモみたいに重い物背負ってるわけじゃないし‥‥」

京極はそう言うとうっすらと笑みを浮かべ、千夏にさえ届かなそうな小さな声で呟いた。

「それに‥‥情があろうとなかろうと俺のプランに間違いは起こりえねぇよ」
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