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キス魔な彼女と草食系僕三十五話

泪達がいる場所に戻ると、そこには京極君とヒメさんがいた。

「あ、翔ちゃん帰って来たわよ」

ヒメさんが僕にを見つけると、泪と億川さんに伝える。

泪はそれを聞いた瞬間にこちらを振り向き、こっちに向かって走り出して僕に飛びついた。

僕はそのまま押し倒される。

「ちょ、泪‥‥」

「遅い!」

「何してたのよ!?」

泪が僕を責めるような目で睨みながら訊く。

「何って‥‥三十木さんの手伝い‥‥」

だいたい遅いと言われるほど時間はかかってない。

「本当にそれだけ?」

「それ以外に何するんだよ‥‥」

「それは‥‥その‥‥」

泪はなぜか口ごもる。

「とにかくどいてくれない? 重いんだけど‥‥」

僕がそう言うと泪は顔を赤くして僕を殴ってくる。

「痛、痛い! 痛いから!」

「っっさい馬鹿!」

泪がとどめの一撃をくらわせてから立ち上がる。

「だ、大丈夫ですか‥‥」

億川さんが立ち上がった泪の後ろから心配そうに声をかけてくれる。

優しさが心に染みる‥‥

どこかの凶暴なキス魔とは大違いだ‥‥

「‥‥なんか言った?」

泪が僕を睨むような目で見る。

「いや、なんにも言ってないよ」

「‥‥そう」

泪は不満気にそう言うと僕の手を引っ張って無理矢理起こす。

「お疲れ様ぁ、時雨の手伝いしてたんでしょぉ」

京極がいつも通りニコニコ笑いながら僕に言う。

三十木さんの言葉を思い出す。

『億川さんや遥さんと、同じ雰囲気ですから‥‥』

同じ雰囲気‥‥

京極と億川さんの顔を交互に見る。

「とても同じには見えないけど‥‥」

「何が、ですか?」

億川さんが僕を不思議そうな表情で見ながら訊く。

「いや、三十木さんが‥‥僕の雰囲気が億川さんと京極に同じだって‥‥」

「同じ‥‥ですか‥‥?」

億川さんも僕と京極の顔を交互に見る。

「雰囲気だから、見比べても分かんないんじゃない?」

砂川先輩が笑いながら言う。

「まぁ、見えないトコは似てるかもねぇ」

京極が何故か満足そうな笑みを浮かべながら言う。

「見えないトコ‥‥内面ってこと?」

僕が訊くと京極は頷く。

「時雨はねぇ、言葉や表情みたいな表面的なことからぁ、発汗や体臭みたいな超無意識的なことまで総合して相手の内面を読み取る能力があるんだよぉ。だからオイラや億川や翔太みたいにぃ、欲や打算がない人間が分かるんじゃないぃ?」

三十木さんの言葉が脳裏に浮かぶ。

『嫌いなんですよ‥‥』

『人間って奴が』

『醜くて‥‥汚いからですよ』

「だから‥‥」

「まぁ、人嫌いにもなるだろうねぇ、身内は権力争いで相手を引きずり降ろしてやろうとあら探しに躍起になってぇ、そうじゃない人には『三十木』の娘っていう扱いしか受けないでぇ、果てには『三十木』のせいで色々と利用されちゃうんだからねぇ」

「それって‥‥どういうことですか?」

「『三十木』の娘に気に入られれば『三十木』との仕事もやりやすいだろうしぃ‥‥『三十木』側からすれば時雨を使って人脈を作りたいんだろうねぇ。子供がいる相手ならとりあえず共通の話題として使えるしぃ」

「そんな‥‥」

そんなの、酷すぎる。

僕達と同じ普通の人なのに、まるで‥‥道具みたいに‥‥

「そんなのってありなの!? その‥‥ミソギさんって人‥‥可哀相じゃない!」

泪が叫ぶような大きな声で言う。

億川さんも同じことを思っているのか、二人共怒りと悲しみが入り交じった表情をしている。

砂川先輩は何故か、複雑そうな表情をして京極を見つめている。

すると京極はため息をついて僕達を向いた。

「俺に言うなよ‥‥それが金持ちの子に生まれた宿命だろうが。そういう目に遭う代わりに裕福な暮らしが出来るんだよ。どんなことにもメリットデメリットはあるだろ?」

京極は苛立っているような表情をしていた。

そして気付いた。

京極も、きっと三十木さんと同じようなことをされて来ているんだろう。

京極家の力を利用する代わりに、京極家の子供として京極家に利用される。

そうやって過ごして来たのだろう。

「ま、可哀相とか思うなら、時雨の友達になってやりなよ。あいつ、友達いないみたいだし、友達が出来れば多少は救われるかもしれないし」

そういえばそんなこと言っていた気がする。

「翔太は気に入られてるんだろ?」

「気に入られてるっていうか‥‥」

嫌いじゃないって言われただけなんだけど‥‥

僕がそう言おうとした時、京極がいつもの笑顔に戻る。

「三人共仲良くしてあげてよぉ。って言ってもぉ、普通にしててくれれば十分だけどねぇ」

「そう‥‥なんですか?」

「そうだよぉ。三人ならそれだけで友達に慣れるよぉ」

(友達‥‥か‥‥なんか嫌な予感が‥‥)

泪が僕の横でぼそっと呟いた。
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