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キス魔な彼女と草食系僕三十六話

体育祭前日の金曜日、僕達は予行練習の後設営の手伝いをしていた。

男子はテント張りと体育祭本番で使う道具の運搬、女子はグラウンドの石や競技上での邪魔になる物を片付けている。

「あ、ココ、ハル、ちょっといいか?」

四条さんが僕と京極を呼ぶ。

「何ですか?」

「ここはもういいからさ、ハルと一緒にしーちゃんの手伝い行ってくれるか?」

「しーちゃん‥‥?」

「時雨のことだよぉ」

僕が考えていると、京極が教えてくれる。

相変わらずなネーミングセンスだ‥‥

「多分、しーちゃんのことだからまた一人で仕事してると思うから‥‥二人なら手伝うって言っても断らないだろ」

僕は前に三十木さんを手伝った時の事を思い出す。

「分かったよぉ」「いいですよ」

「じゃ、頼むわ」

四条さんはそう言ってウィンクすると、自分の仕事に戻る。

「そいじゃあぁ、手伝いに行きますかぁ」

京極はいつもの笑みを浮かべたまま校舎に向かって歩いて行った。



京極に着いて行くと、京極は特別棟3階まで来た。

三十木さんは音楽室にいた。

「何しに来たんですか?」

三十木さんは怪訝な表情を浮かべたまま僕達を見る。

「ちょっと手伝いをね‥‥奏に頼まれてさ」

京極は普段とは違う口調を使って説明する。

「そう、ですか‥‥では、遥さんはこれを下まで持っていって下さい」

三十木さんはそう言うと近くにあったスピーカーを指差す。

「ほいな」

「僕はどうすれば‥‥?」

「九重さんは、私について来て下さい。別な仕事があります」

三十木さんはそう言うと音楽室から出ていく。

「気をつけてね」

なぜか京極にちょっと本気っぽい声色で注意された。



三十木が来たのは音楽室の二つ隣の、倉庫と化している空き部屋だった。

「これを一緒に運んで欲しいんです」

「これ‥‥何ですか?」

「折り畳み式の机ですが。見て分かりませんか?」

三十木さんが指しているのは埃を被った折り畳み式の机だった。

「いや、その、そういうことじゃなくて‥‥」

なんでわざわざこんな所からこんな物を‥‥?

「机が足りないらしいんです」

三十木さんが僕の心の中を呼んだかのような発言をする。

「気をつけて下さい、かなり重いので」

「はい、分かりました‥‥じゃあ、行きますよ」

僕がそう言って持ち上げる。

予想外に重い。

「大丈夫ですか?」

三十木さんはほんの僅かに心配そうな表情になる。

「だ、大丈夫ですよ」

精一杯の強がりで笑う。

「い、行きましょう」

「‥‥はい、そうですね」

三十木さんは特に重くなさそうだった。

そのまま階段まで運ぶ。

机を横にして、一段ずつゆっくり下りて行く。

「注意して下さいね」

「はい、分かってま――」

三十木さんがそこまで答えた時だった。

三十木さんが階段を踏み外した。

「あっ‥‥」

三十木さんの口から小さな悲鳴が漏れる。

その瞬間、考えるより先に体が動いていた。

机を放り投げ、三十木さんの方に飛び込む。

三十木さんを庇うように抱きしめ、そのまま階段の踊り場に背中から落ちた。

息が詰まる。

放り投げた机が僕達の脇に落ちる。

「っ痛〜‥‥」

「ごめんなさい、大丈夫ですか‥‥?」

三十木さんがこれまで見てきた中で一番心配そうな表情を(と言っても普通の人に比べれば、多少程度の変化だけど)する。

「あ、はい、大丈夫で」

「保健室行かないと‥‥立てますか?」

僕の答えを聞かずに三十木さんが立ち上がる。

「大丈夫ですよ、これくらい‥‥」

「ダメです。あの高さから落ちたんですから、今は良くても後から痛むかもしれません‥‥立つのが難しいなら、七瀬先生を呼んできますけど」

「い、いや、自分で行きますから。三十木さんは自分の仕事に戻って下さい」

「そういうわけにはいきません‥‥私のせいでこうなってしまったんですから、私が最後まで世話するのが道理でしょう?」

「それは‥‥」

そうかもしれないけど‥‥

「言っておきますけど、私からは絶対折れませんからね」

三十木さんはそう言うと手を差し出す。

その表情は、確かに折れそうになかった。

「‥‥分かりました。行きます」

僕はそう言って立ち上がった。



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