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キス魔な彼女と草食系僕 第36話

体育祭当日になった。

「がんばろーね、皆!!」

やる気満々な泪。

「かったる‥‥」

やる気のなさそうな正岡。

「は、はい!!」

緊張でガチガチの億川さん。

「もう少し、力を抜いたら~?」

いつも通りマイペースにのんびりしている京極。

こんな具合に熱量はバラバラだ。

それは僕らの組、全員に言える事だ。

ただ、どちらかというと、正岡のようにやる気のなさそうな生徒が多い。

正岡が言うには、元々スポーツが得意ではない生徒が多い組だし、泪のようにやる気に満ち溢れてる人間の方が珍しいんだろうけど。

「‥‥騒々しいですね」

三十木さんが、呆れた顔でこちらに近づいてくる。

「テンション低いね、みそちん、せっかくの体育祭なのに」

「その呼び方はやめてください」

三十木さんが露骨に嫌悪感を示す。

「何で? かわいいのに」

「響きが嫌です」

三十木さんはきっぱりと伝える。

「仲いいね、二人とも」

「まぁ、同じ部活の仲間だからね!!」

「‥‥ただの先輩と後輩ですが」

正岡の質問に返事をする二人の温度差がすさまじい。

「時雨はぁ、自分のクラスにいなくてもいいのぉ~?」

京極が、いつも通りの笑顔を浮かべて、三十木さんに質問する。

でも、その顔はやっぱり、いつも通り作ったものだとすぐに分かった。

「クラスでは浮いていますから、私は。あまり居心地が良くないので」

三十木さんがクールに返す。

「じゃあ、こっちは居心地がいいんだね!」

「あちらに比べれば多少、という程度ですけど。こっちはだいぶ、騒がしいですし」

騒がしいのは泪一人だけど‥‥

「まぁ、それならこっちにいればいいんじゃないの? どうせ整列まだだし」

正岡が三十木さんの頭にポンと手を乗せる。

すると、三十木さんは無表情のまま正岡の手を払いのけた。

「すみませんが、あまり気安く触らないで下さい」

一瞬、場の空気がひんやりとした。

「ちょっと、みそちん!!」

「可愛くねえな、お前」

泪は慌てているけど、正岡は対して気にしていなそうな口調で苦笑している。

「あなたに可愛いと思われても、意味がありませんから」

「‥‥っとに可愛くねえ」

正岡がククッと笑う。

「もうちゃんと謝らないとダメだよ!」

泪に叱られた三十木さんは、悪びれた様子もなく、黙って頭を下げる。

正岡は相変わらず苦笑したまま、気にしていないと手をひらひら振る。

「時雨は、基本誰に対してもこうだからねぇ、愛想がないんだから~」

「必要ならばします、ここで愛嬌をふりまく必要がないだけです」

三十木さんが淡々と話す。

前に見せてくれたあの笑顔は、本物だったんだろうか。
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